夢中で君に恋してる

ジャニーズとレモンサワーとハラ美

明けない夜も、止まない雨も、ちっぽけな自分も、

どうしても好きになれない言葉の代表格が、 

 

「明けない夜はない。」
「止まない雨はない。」
「世界に比べたら自分の悩みなんてちっぽけだ。」

 

という、なんともむずがゆい、いい意味で前向き、悪い意味で綺麗事を煮詰めたような言葉たちで、これはもう自分がひねくれているからという結果でしかなくて、自分のことが悲しくなるけど、苦手なものは苦手である。

 

明けない夜はない?そんな抽象的なことじゃなく、じゃあ具体的にいつ明けるのか教えてほしい。明日?明後日? 1年後?
止まない雨はない?そんな抽象的なことじゃなく、 じゃあ具体的にいつ止むのかを教えてほしい。夕方?真夜中? 明け方?
世界に比べて自分の悩みなんてちっぽけ?だから? なんで世界と自分を比べなきゃならないの? 自分の悩みは自分のものであって、何かと比べるものでもないじゃないか。

 

今年は世界的に蔓延してしまった新型コロナウイルスのため、すべてが全部変わってしまった。
大げさではなく、生活様式から身に着けるものまで、何から何まですべてが変わってしまった。

 


夜は明けないし、雨はやまないし、 生きていたって好きな人たちに会えない。

 


前向きな言葉が大事なことはわかってる。文句や愚痴を並べたってなんの解決にもならないことぐらいわかっている。自分を、相手を、世界を鼓舞させるように極めて明るく、前向きな言葉という「特効薬」を口にすることで、元気になる人たちだっているし、9割方の人たちが勇気づけられているんだろうなとも思う。でも、私はこの1年、前向きな言葉という名の「暴力」 を投げつけられて、すっかり疲弊してしまった。わかったよ、前向きが大事だね、そうだね、 今みんなで頑張らなきゃだめだよね、明けない夜はないもんね、そうだよね。わかってる。わかってはいる。このポジティブハラスメント、本当にしんどかった。 誰かが負のことを言ったら叩かれそうなこの1年、 結構耐え抜いた方だと思う。ちなみに2020年、1番気持ち悪かった言葉はステイポジティブ。 悲鳴をあげそうになった。さらに言うとみんなで頑張ろうとかもすごく苦手な言葉で、私は頑張りたくないので勝手に頑張ってくださいと突き放してしま う。私はひどく心が狭い。


自分がオタクになってから、1年間何の現場にも足を運ぶことがなかったなんて前代未聞。
いらない経験値だけを蓄えてしまったし、できればこんな経験値二度と強化したくない。私たちオタクは現場があって初めて息を吹き返す生き物だし、現場があって初めて細胞が色めきだす生き物だし、現場があって初めて自分の輪郭を取り戻す生き物。今こうやってじっと社会を生きているのは仮の姿で、 本当の私はこんなところでくさくさしてる人間ではない。てことは、今年1年仮の姿で生きてしまった。本来の自分の輪郭がどんどん溶けて、世の中になじんでしまう。こんなつまんない世の中に自分を溶け込ますなんて私はごめんだ。本来の姿で、本来の自分として、 自分が1番いきいきとしている現場に行ける日は、 本当に来るのだろうか。明けない夜はくるのだろうか。


ここ最近、若手ジャニーズにも感染が広がって、ついにSnow Manにも陽性者が出て、全員が濃厚接触者になってしまい、夢の舞台だった紅白歌合戦を辞退せざるをえなくなってしまった。これに関しては誰も悪くない。陽性になってしまった彼が悪いなんてことはちっとも思っていない 。芸能人は一般人より気を付けていると思っている。それでも感染しまった。そして紅白に出れなくなってしまった。

いろんなニュースを読み漁ったけれど、

 

Snow Man紅白絶望も「史上初の伝説グループ」になる可能性】

 

正直、私はこれについても気持ち悪いなって思ってしまった。 いる?こんな史上初、本当にいる?いらないよね、コロナがなければデビュー年に初出場という輝かしい肩書がついたのに、こんな史上初なんていらないし、ほしくもない。試練はつきものとはよく聞くけれど、超えられない試練はないとはよく聞くけれど、正直そんなのも嘘だと思う。やっとデビューをしたという年に試練っている? 神様に試されてるってなに?私たち、治験?え、てかみんなまじで神様信じてるタイプ?まじで?努力が必ず報われるはずがない。努力だって試練だって、結局ウイルスには勝てなかった。悔しい。本当に悔しい。紅白のステージで歌う9人が見たかった。 来年見れるなんて言葉じゃなく、今年見たかった。ファンも、彼らも、もう前を向いてる。すごいなと思う。私だけ同じ所に立ち止まってる。


わかってる、1番悔しいのは彼らだし、それはもうファンなんかの何倍も何十倍も悔しいに決まってる。 それを堪えて、自分たちよりまずファンに前向きな言葉をかけてくれる優しさはこ んなにひねくれてる私だって純粋に受け止める。「 心配しないでね」「大丈夫だよ」って言葉に救われる。なんて優しい人たちなんだろうと思うと、私みたいなのがファンでごめんなさいと反省する。 私は定期的にSnow Manに救われて、反省させられて、ゆっくりと輪郭を取り戻して、なんとかこの1年頑張ったんだと思う。

 

夜が明けないなら、せめて夜の過ごし方を、
雨が止まないなら、せめて雨の楽しみ方を、


世界に比べたら自分の悩みなんてちっぽけだなんて馬鹿げてるけど 、彼らに比べたら私の悩みはとても小さくて、 そして少しだけ悪戯に笑っている。