夢中で君に恋してる

ジャニーズとレモンサワーとハラ美

終電以上、始発未満

今の部屋に住み始めて、今年で10年経つ。

 

 

10年前って言ったら、あれよ。目黒蓮が入所した時よ。ラウちゃんなんて6歳よ。美 少年なんて誰もまだ入所してないし、のわりにはしみずは入所してたことに、いや、ベテランやん!!ってなったわ。はしみず先生さすが。しかしさ、この10年で華々しくデビューしたり、事務所入って人気グループ組んだり、やっぱジャニーズ事務所、夢ありすぎ。私のこの10年まじで何も変わってない。ちょっと太っただけ。

 

上京でも就職でもない、ただの一人暮らしを始めたきっかけは当時の会社で出会い、めちゃくちゃに仲良くなった友達。部署は違えど、同じフロア、同じ業務だったので、週5で社食でランチをし、ひどい時は週3で飲むという若さゆえの時代だった。だけど、当時実家にいた私はどんだけ飲んでも実家に帰らなければならないという事実がいつも頭を冷静にさせてしまっていた。実家は横浜なので、ゆーてそんな遠くはないのですが、なんていうか、終電以上、始発未満で遊ぶことを夢に見ていた若かりし時代。帰ってそのまま寝ちゃった!とかして見たかった時代。その時にその友達が、一人暮らししなよ!したほうがいいよ!とごり押しされ、一人暮らしなんて頭になかったのに、突然、ほんと思考がクリアになったように、そっか!一人暮らしすればいいんだ!と閃いたのがきっかけ。一人暮らしの理由が、酒がしこたま飲みたいというのが、我ながら最高。すぐに両親に言ったら、しなしな!と言われたから多分両親もいつまで実家にいるんだ、こいつ…と思ってたのかもしれない。なんて辛辣な両親。大好き。

 

さて、じゃあどこに住もうと漠然と考え、正直こだわりはなかったけど、今の街を選んだきっかけは当時の好きな男のせい。好きな男が、当時今の街に住んでいたのでちょろい私は、じゃあ私もこの街に住む〜!と酔っぱらった勢いで宣言した、確か新宿の居酒屋。そうやって全て閃きと不純な動機で、一人暮らしする!から1ヶ月もしないで今の部屋に住むことになった。

 

それが、10年前。

 

一人暮らしを始めてからはとにかく遊びまわって、憧れの夜中にタクシーで帰る、とか、好きな男を持ち帰って夜な夜ないちゃつく、とか一人暮らしを始めた年齢が人生で1番チャラくて遊びまわってた自信しかない。そんな自信いらんけど。

 

狭くもないけど広くもない空間、古くもないけど新しくもない築年数、特別なスペックはないし、決してどれも誇れるものではなかったけど(宅配ボックスは最高に助けられた)エリアから考えたら安くない?!と驚かれるこの部屋。ちなみに内見もこの部屋しかしていません。この勢い、すごない?止まったら死ぬかもしれないと思うぐらい毎日生き急いでたなぁ。2年経ったら結婚してるっしょ!余裕っしょ!と思っていたんですが、、、

 

それが、10年前。

 

おかしなことに結婚もしてないし、当時行き来して幸せの絶頂にいたはずの好きな男ももう違う街に引っ越し、私じゃない女と幸せの絶頂にいるらしい。私だけがこの部屋に残ってる。引っ越すタイミングはたくさんあったけど、1ヶ月に1回家賃を払い、2年に1回更新料を払い、私はこの部屋に残ってる。

 

お気に入りポイントもないけど、居心地がよく、壁に寄りかかるとこのまま壁に吸い込まれ、私もこの部屋の一部に溶け込んでしまうんじゃないかなと思うぐらい自分だけの小さなシェルター。大笑いした日も大泣きした日も、帰ってくる場所はここだったし、時効だから言えるけど、何人の男を連れ込んだかも正直覚えてない。家族も友達は全然来なかったのに(あるある)1人で出かけて2人で帰ってきたり、2人で出かけたのに1人で帰ってきたり、緊張する場面に向かう時も、次この部屋に戻ってくる時は緊張から解き放たれてぬくぬく寝てるはず!だから頑張ろ!と意気込んで、帰りの電車を降り、駅から歩いて、鍵を開け、電気をつける。そんな些細な事に救われた日もたくさんあった。この10年の全部の出来事が凝縮して詰まってるなと思う。まだ引っ越してないの?!と驚かれることも多かったけど、なんとなく離れ難かった。まぁ、だらだらしてたら10年経ってた、が1番しっくりくるかも。本当に大きな変化はなかった10年だけど、些細な変化は数えきれないほどあって、それをすべてこの部屋に押し付けた。この部屋自体が私のすべてで、私の青春。夢も希望も特にない、何者でもない私にはぴったりのありふれた部屋。

 

結局、私は自分の意志でこの街とこの部屋に残り、思い出と共に過ごしていたんだなと思う。思い出を振り返るのは得意じゃないけど、この部屋がある限り、無意識に染み付いたいくつもの思い出に囲まれて生きていくんだろう。それが生き易いのか、生き辛いのか、今はまだ見ないことにしてる。ただ、この閃きと不純な動機がなければ一人暮らしをするきっかけもなかっただろうな。今も実家は大好きだし、1時間もあれば帰れるからしょっちゅー帰るけど、「ただいま」と思うのは今の部屋。おかえりの返事もない、狭くも広くもないこの部屋。正直、もう家族とは暮らせないなと思う。1人の気楽さも、1人の孤独も全部手に入れてしまったから。好きなものに囲まれて1人で過ごすのも悪くないな、と教えてくれた。孤独だって、味方につけて強くなった気がする。

 

何度思っても10年間、まじで引っ越す理由がなかった。この部屋が好きだった。

 

 

 

10年前に憧れた「終電以上、始発未満」がごく普通のありふれたものになったこの部屋に、今週私は別れを告げます。

 

 

 

 

今週のお題「わたしの部屋」