夢中で君に恋してる

ジャニーズとレモンサワーとハラ美

ジャニオタがオススメする「アイドルオタク」が主人公の小説4選です!

「推しが尊い」「推ししか勝たん」

と、「推し」って言葉が世間に流通してから、私たちオタクってオタクとしてすごい生きやすくなったと思いません?メディアでも「就活」「婚活」「 推し活」ぐらいメジャーな活動になって、息を潜めてもぐらのように生きてきたオタクとしては、すごいありがたい。ありがたいんだけど、「推し」なんてメジャーで単純な言葉だけで片付けられちゃ困るともちょっと思う。

 

世間(少なくとも私の会社の人たち)は、「推し活」 をテレビで応援してCD買ってキャーキャー騒ぐレベルだと思ってるだろうけど、こちとらガチだから(真顔で) 同じコンサートや舞台に何度も行くのが当たり前レベルで育ってる んで。 キャーキャー騒ぐだけで推し活って言ってもらったら困るんで… とは言いませんけどね、価値観ってやつもあるし。「推し」 という便利な言葉はありがたいけど、ちょっと刃向かいたくもなるんだよっていう戯言です。


最近、拙い本棚をいろいろ片付けてたら、アイドルオタクの物語が一番共感できること にびっくりしたわ。もうね、ミドサー独身の婚活云々とか、 お仕事奮闘ものとか、全然共感できねぇの。 異世界転生ものレベルで共感できない。ほぼSF。 すごいどうでもいいんだけど、「異性愛者/同性愛者」「 結婚する/しない」「子供を持つ/持たない」 と性自認やライフスタイルはすごい自由に選択できるようになり、物語やエッセイ読んでても好きに生きよう!自分らしさを忘れずに!っていうのわりに、仕事だけは「なんだかんだみんな仕事が好き」「仕事は裏切らない」 っていう前提ってなんなのって思うわ。全然嫌いなんだけど。

 


さて、 そんな寝ても覚めても性欲由来の男性アイドル好きの私が選ぶ「アイドルオタク」を主人公にした小説を紹介するよ~~~

 


【推し、燃ゆ】宇佐見りん

芥川賞受賞の「推し、燃ゆ」めっちゃヘヴィー。ヘヴィー級。 WOC(世界オタク評議会) ヘヴィー級ででチャンピオンベルトほしいままにしてるんじゃないかってぐらい、ヘヴィー級のオタク、そして愛。 こんな闇属性抱えたアイドル小説見たことない。前代未聞。主人公JKあかり、学校に馴染めず家族に馴染めず、そもそも備わってる生きづらさを抱え、現実世界はドロップアウト間近、ギリギリ、推しを推すということだけに生かされて満たされてるけど、その一方でオタクとしてアイドルに生活を搾取され、翻弄されていく姿があまりに痛々しく、こうなりたくはないな… と思わせると同時にどっかで道を外したらこうなってしまうんだろうなとも思ってしまう。もはやホラー小説。芥川賞、ホラー部門作った? と思って読んでいくと、これはただの不気味なまでの愛の物語であって、だからつらいんだよな~って思う。重量級の文章だけど、 会話の部分や主人公が書いてるブログの部分など、等身大感もあって読みやすいけど読み苦しい。 結局人は1人では生きられないし、何かを支えにしていかなきゃならないわけです。それは推しじゃなくても、家族とか、恋人とか、友達とか。でも、そういう人に自分を支えてもらうにはちょっと傲慢な気がするから、自分に直接関係のない「推し」に少し支えてもらう、 ぐらいがいいんだと思う。この子にとって推しは中心じゃなくて、背骨。ちょっとわかっちゃう自分が怖かったりする。しかし、この主人公が推してるアイドルはまじで素行が最悪だから私だった らすぐ降りちゃう。って言ったらあかりにすごい蔑んだ目で見られそう。ごめんて。


【婚外恋愛に似たもの】宮木あや子

推し、燃ゆは「世界にはわたしと推ししかいない、 それだけいればいい。」みたいな感じだったけど、こっちはライフスタイルの違う35歳の女たちが同じアイドルグル ープ5人組をそれぞれに推しまくる連作短編集です。 めっちゃくちゃにジャニーズ事務所意識してる。 推しという存在がありながら、 旦那に不満を抱いたり、家族に不満を抱いたり、仕事に不満を抱いたり、そういう「負」の軸があるからこそ、 いい意味の逃げ道に「推し」を使ってるイメージ。 推しに翻弄されつつも自分軸をしっかり持っていて、 推し活をしながらその不満にそれぞれ手を尽くして解決に向かっていく女たちは、理想であり、オタクとしての正解な気がする。決して真似できないけど。普通に生活していたら絶対に交わらないであろう35歳の女子たちが、アイドルにキャーキャーしてる姿は本当にきもちいい。 周りから見たら系統がまったく違うのに、 なんでこんな盛りあがってるの?何繋がりなの?っていうのは大体オタクの集団。女にとってアイドルは「デトックス」という言葉がすごく好きです。わかる。 毒素めっちゃ抜ける。いくつになっても、 同じ趣味で騒げる友達がいるのはいいなぁって思えるからあかりにもそういう友達いたらいいのに… 桜井さんや益子さん(作中の人物)みたいなオタクとしてのお姉さん的存在がいたらきっと違う未来が あっただろうに…。現場のあとに5人で焼肉食べながら感想語って、ふとしんみりしてしまうところとか共感でしかない。現場、終わっちゃったね、っていう感情が1番寂しい。その後、自分自身の今後の話をするのも35歳ならではの気もする。知らんけど。


【りさ子のガチ恋・俳優沼】松澤くれは

2.5次元俳優沼は個人イベントやプレボ等、私のいる沼には参入しなかったものなので、奥深い気がして、非常に怖いです。この主人公りさ子はもう完全なる痛オタク。何が怖いって痛いことに本人多分自覚がない。自覚がない痛さって、もうさ~~~絶対思われたくないよね!!! 私だってさ、痛いかもしれないしさ! 私から見てもこの人痛いな~ってオタクもいるしさ!でも、さすがにここまでしでかすことには痛さというか、人としてのモラルの問題だし、それについては「あれ、私モラルないかも」って自覚できると思うんだけど、それすら超えてしまう推しへの愛。愛が暴走した結果、 とんでもないことが起こるし、あとなんつーか、りさ子懲りてねぇ。全然懲りてねぇ。強い。そのメンタル、強い。逆に羨ましさすらある。その強靭のメンタル持ちながら、推しのことになるとすぐポキッと折れる→大暴走。なんなんもう~~暴走しすぎだわ~~~絶対に友達にしたくない。でも友達の友達の友達ぐらいでいたら月に1回ぐらい「りさ子、最近どうなの?病んでないの?」とか面白半分で聞いてしまいそう。ミーハー心には逆らえない。炎上、不毛なマウント、崇拝、優越感、そしてアイデンティティを崩壊するような推しからの一言、 もう綺麗も汚いも全部ぐちゃぐちゃに煮詰めてしまったような、なんでもありの全部乗せ。わかるわかる… ってところも無きにしも非ず。 俳優同志の会話や思惑はできれば目を瞑りたいところ。 一番好きなキャラクターはりさ子の推し俳優と熱愛の出るるるちゃんです。りさ子とは別のベクトルでメンタル強すぎ。


【くたばれ地下アイドル 第5章: 寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ】 小林早代子

主人公ちさぱいが、4作品中1番私に近いアイドルオタクとしての生き方だった。推しに人生搾取されたくない。自分の舵は自分で取りたい。 推しの言葉の意味を正しく汲み取るなんて無理。CDや雑誌を買ってファイリングしたりするの、普通にめんどくさい。恋愛勝手にしてくれ、ただ隠してくれ。 彼女と同じように、私はオタクである自分を全力で楽しんでる反面、客観的に見て寒いなって思うこともあるし、アイドルのこと全力で大好きな反面、だせぇなってバカにしてるところもあると思う。 自分はライトなオタクなんですよ~~そんなガッツリオタクなんかしてないですよ~~ って思ってたのに、ふとしたきっかけで、 推しのことこんなに好きだったんじゃん… もう日常に溶け込んでて、 些細なことでこんなにぐらついちゃうんじゃん… って改めて気づかされる。認めざるを得なくなる。 自分が知らないうちに、アイドルが日常に寄り添いすぎてる。 見なきゃいいものを、つい見てしまうのはなんなんだろう。 臭い物には蓋をしとけばいいのに、つい嗅ぎにいっちゃうのはなんでなんだろう。なんてことを隠さずに全部出し、それが終始、語り口調というか、おしゃべり口調のライトな文章と疾走感がすごいので非常に読みやすい。友達と喋ってるみたいな感覚。調べたらこの作者の方、ゆうぴー担っぽいな。小島も好きっぽい。仲良くなりたい。現役ジャニオタだからこそ1番共感性が高いのかもしれないな~。 他に4章あるんだけど、私は圧倒的にこの5章目が好き。アイドルオタクの在り方に躓きそうになった時読み返して、そうだよなそうだよな、私間違ってないよな、ちさぱいありがとう!って思うし、彼女がぽっきり折れた時、駆け付けてそばにいてあげたい気持ちになる。 ちさぱいは二次元の私の友達。

 

以上4作の何がいいって「結局恋愛」にならないところ。 恋愛と推しが溶け込まない作風が好みなのかもしれません。 韓国ドラマの「彼女の私生活」も最初すごく楽しく見てたんだけど最後の方、胸やけしそうなほどの恋愛パートになってしまって、不完全燃焼でした。少女漫画もしかり。

 

推しと彼氏、選べないよ~ !(きゅるん☆)とか、推しが私のお隣に?!(どっきん☆) とか、そういった類、まじでいらない。寒気がする。 推しを取り扱う作品は、そこに恋愛を溶け込ますな。推しに誠実であれ。推しは推しというカテゴリーだけでいろ。 推し以外のカテゴリーを介入するな。 推しとオタクには絶対に踏み込んじゃいけない聖域があるんだ。彼らは雲の上の人間なんだ。そこんとこよろしく。

 

まぁでもアイドルや女優が主人公の話だと、 やっぱ恋愛パートが軸になることが多くて、 まぁそれは真っ当だよな~とは思う(「武道館」「夢を与える」)男性アイドルが主人公の小説とかあるのかな。あったら読んでみたい。どういう風い取り扱うんだろう。男性アイドル、取り扱い方、非常にセンシティブな気する。 他にも「アイドルオタク」 が主人公の小説があったら是非教えてください! 片っ端から読みたいです!

 


「推し」という言葉が流通し、ジャニオタが世間に普通に認知されはじめたとしても、私はまだまだ自分がジャニオタなことは世間に隠していきます。 保守じゃ、保守。そして便宜上ライトに使える「推し」という言葉の用法・用量を正しく守っていきたいな、と思いつつ、やっぱり今日も推しが尊い