夢中で君に恋してる

ジャニーズとレモンサワーとハラ美

限りある、果てしない僕らの時間。

今年始まってまだ1か月しか経っていないんですが、今年のドラマアワード(私内)のグランプリ取りそうだな~ってのがあって、ちなみに去年は真夏の少年、一昨年は恋の病と野郎組だったんですが、これは若干のひいき目もあるわけです。推しが出ているという最高に分厚くピンクでお花モチーフのユーライクもビックリのフィルターが!!!しかし、今回何が違うって、推しが出ているわけじゃないってことです。 そのドラマが何かというと
 
「夢中さ、きみに。」です。

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なにわ男子の大西流星プロと高橋文哉くんの主演、主演だけど、交わらな世界線で絡まる日常ドラマ。これがもうすごいんすよ。何がすごいって、何の事件も起きないの。 起承転結がとくにないというか、あっても非常に曖昧なグラデーションで流れているだけで、ドラマでよくある『~がきっかけである事件が起きる』とかがない。まじでない。 あるとしてもパンダの着ぐるみが出てきたりする。それぐらい。 金田一もコナンも杉下右京も一生寝ていられるぐらいに事件性ゼロ。30分間ただ淡々と過ぎていく高校生の日常を見ている、それだけ。ただそれだけなのに、こんなにも心をくすぐってくるドラマありますかって思う。なんとも言葉で言い表せないような、切なくなる要素はないのになんか切ないし、エモい要素もないのにエモさでいっぱいになる。あるようで、でも絶対ない、だけどありふれた日常を静かに丁寧に、まるで黄金色に光るブイヨンを煮込むかの如く、ニュアンスだけで描いているドラマなんですが、これがまじでいい。 真夏の少年や野郎組が豪快で瑞々しいドラマだとしたら、夢中さ、 君に。は繊細で脆くて、でも壊れても全員が平気な顔してそうなドラマというか。林(りゅちぇ)サイドと二階堂(高橋君)サイドの2連作でいて、光と色の使い方も違うのが、すっごく素敵で。林サイドは暖かみのあるオレンジ、二階堂サイドは硬質的な青、の使い方がまじで絶妙で、ひとつのアート作品を見てる感じがする。またさぁ、 セリフがいいのよ。二階堂くんのセリフ「 一人は別に不幸ではない」とか、現代を象徴する言葉だと思う。 絆という言葉が不自然なまでにもてはやされてるご時世に、一人が幸せとは言わないけど、不幸じゃない、というのを押し付けるわけでもなくナチュラルにセリフに溶け込ん でるのがいい。「心に余裕があるうちは、 意味のないことをしていたいんです。きっと今しかできないから。 」「暇をつぶすのに忙しい」林は本当に飄々としてて、何を考えているかわかんないけど、もしかしたら1番自分の価値をわかっているのかなぁって思ったり (かわいいでしょ?僕、とか言っちゃうし)なんていうか、ね?! ね?!いいでしょ?!こういうセリフ好きでしょ?! みんなこういうドラマ見たかったでしょ?!っていう押し付け( 昨今こういうドラマ多くない?)がないからラフに見れる分、 引き込まれる。だけど正直、後に考えさせられることはゼロ。でも本来ドラマってこれでいいっていうか。 ありふれた日常の中に起こる事件なんて一粒の水滴ぐらいのもんだし、実際。こんなこと実際の高校生活でなかったけど、 懐かしいなぁって思わせてくれる夢中さ、きみに。にまじで夢中。
 
これまた、主人公二人を取り巻く周りの子たちもめっちゃくちゃにいい。 目高くんも江間くんも小松くんも、みんながいい。みんなが優しい。 その優しさもまた、押し付けないというか自然にやさしい。というか多分優しいことをしているという意識がないんだと思う。全員が微熱を抱えたけだるい感じというか、湿度を一切感じないキャラクターたちが全員いとおしい。 高校生がキラキラして見えるのって自分が卒業してもう何年も経つからであって、実際高校生の渦中にいる間は大人になりたかったり、子供でいたかったり、とその絶対的な輝きに気付かないんですよね。(これをおいシャン現象と呼ぶ) やる気がないわけじゃないけど、やる気を見せるのはカッコ悪いし、言われてみればなんかこうずっと微熱のまま過ごした3年間って気 が、今になってする。
 
そして、大西流星プロがまじで最高。びっくりした。 りゅちぇプロって私のイメージでは、 正直ただ可愛いキャラなだけと思ってて、それはもちろんりゅちぇの武器ではあるんだけど、 林くんを演じるりゅちぇを見て、この子のポテンシャルなんなの… って驚きました。よすぎ。ほんとに。淡々と、飄々と、我が道を行く林くんを「わかりやすい可愛い」を封印した大西流星くん(りゅちぇという表現が似合わない) が演じるの、こんなにいいんだってなった。てか、 もっと言っちゃえば、この子こんな演技できるんだ… って感動したわけです。これこれこれよ。 大西流星くんの正しい使い方って感じがして、 なんだかすごく嬉しくなったわけです。 担当でもないのに嬉しくなるってなんだよって感じだけど、 新たな大西流星くんの使い方みたいな感じ。 言葉悪いかもしれないけど、しっくりくる。
 
 
あと、OP、EDとともに曲がいい。OPでは… って私音楽わかんないから説明できないんだけど、こう、 明るいんだけど、苦しい、みたいな歌で、EDがなにわ男子「 夜這星」という超名曲。
 
「意味ありげに、意味ないことをしてもみてもいいんじゃない」


「大人になったら消えてしまうような瞬間を抱きしめよう」


「特別なわけじゃない、静かに淡くときめく刹那に」
 
なにこれ、まじで。 無敵で脆い時期の7人にこんな歌詞歌わせるなんて。 テレビで見たら泣いちゃう自信がある。よすぎて。この歌をもらえたなにわ男子に嫉妬しそう。
 
そんな「夢中さ、きみに。」が今夜最終回です。 きっとまた事件は起きない。淡々と過ぎ、淡々と終わる。ただ、 ぼんやりと輪郭のないまま、このドラマは終わるのでしょう。 きっとそれが正解の形なんだと思うのです。
 
「青春」とも違う「17歳のただの日常」はもう戻らない。 戻りたいとも思わない。でも、 今もどこかで林や二階堂がいる気がして。もし、 どこかで見かけたらきっと声をかけてしまう。「夢中だったよ、 きみたちに。」と。